令和4年度 土岐市水道水質検査計画
目次
- 基本方針
- 水道事業の概要
- 水質管理上の留意点
- 水質管理の状況(水質検査実施機関)
- 定期検査
- 臨時水質検査
- 水質検査計画及び検査結果の公表
- 水質検査の精度と信頼性の保証
- 関係者との連携及び広報活動
資 料(水道に使われる用語や検査する項目の説明)
- ア.水道法に基づく水質基準
- イ.水道水質検査実施計画
令和4年度 土岐市水道水質検査計画
1.基本方針
土岐市上下水道課では、お客さまに安全、安心かつ良質な「おいしい水」をご利用いただくために、県営水道からの受水地点から蛇口まで水質管理を行っています。お客さまから信頼され、安心して使っていただけるよう、以下の方針を軸に水質検査の計画を定め、より安全な水の確保に努めます。
- 過去の水質検査結果を評価し、給水体制の改善や施策を考慮します。
- 水質基準項目は、すべての項目を検査対象とします。
- 過去の水質検査結果等から、合理的な検査回数を設定します。
- 水質管理上、適切な採水場所を設定します。
この計画に基づいて実施した検査の結果を基に、お客さまのご意見等を踏まえ計画を見直し、より適正で精度の高い検査を実施し、そして安全な水道水としてお客さまの蛇口までお届けすることに努めます。
2.水道事業の概要
土岐市は、岐阜県東部広域水道より浄水を受水しています。水源となる木曽川の水の水質監視や、水道水をつくる浄水場から土岐市の受水地点までの水質の管理は、岐阜県東部広域水道が行います。
土岐市内では、以下の4系統(5受水池)で受水し、市内全域に配水しています。
- 駄知受水系統 駄知町中央部・北山地区・雨池地区
- 下石第1受水系統 下石町・妻木町・土岐津町土岐口の一部地区
- 肥田受水系統 土岐津町・泉町・肥田町・駄知町南部及び西部地区・旭ヶ丘地区・濃南地区
- 妻木受水系統 妻木町南部地区・下石町西山地区・プラズマリサーチパーク・土岐津町大洞地区
給水状況(令和4年2月28日現在)
- 給水区域
- 土岐市内全域
- 給水人口
- 56,232人
- 普及率
- 99.8%
- 給水件数
- 23,320戸
- 計画一日最大配水量
- 27,900立方メートル
- 一日最大配水量
- 20,478立方メートル
- 一日平均配水量
- 19,067立法メートル
3.水質管理上の留意点
蛇口からの水は、直接「飲用水」として利用されます。そのため、水質基準に適合していることが絶対条件ですが、さらに消毒効果が保持された水でなければなりません。しかし、消毒効果のある残留塩素濃度が高すぎると、水道水の味を損なうこともあります。そのため、配水拠点ごとにこの濃度を24時間モニターし、より少ない消毒の注入となるよう留意しています。
また、毎日使用される水道水ですので、市内10カ所において市民の皆様のご協力をいただき、「濁りはないか」「無色透明な水か」「消毒効果が保持された水か」を監視していただいています。もし少しでも異常があれば、その処置や改善を行います。
4.水質管理の状況(水質検査実施機関)
土岐市では水質検査を行う施設を保有していないため、水道法第20条に基づく「検査登録機関」に水質検査を委託しています。緊急時や臨時に実施する水質検査についても同じ検査機関で対応し、水質管理を行っています。
これまで実施された水質検査においては、細菌・金属類・有機物・無機物・消毒関連など、全ての項目で水質基準に適合しています。
5.定期検査
お客様の蛇口から出る水道水が水質基準に適合しているかどうかを確認するため、各配水系統の地域特性や水道施設状況に合わせて、下記の場所を採水場所に設定し定期検査を実施しています。
- 土岐市泉町定林寺958番地 (活動センター)
肥田受水系統 北山低区配水池 - 土岐市土岐津町土岐口1372番地の1(土岐市学校給食センター)
肥田受水系統 土岐津配水池 - 土岐市駄知町1341番地の3 (駄知支所)
駄知受水系統 駄知受水池 - 土岐市下石町1795番地の12 (岐阜県立土岐紅陵高等学校)
下石第1受水系統 下石第1受水池 - 土岐市下石町304番地の1 (店舗)
妻木受水系統 下石第2受水池 - 土岐市妻木町1357番地 (つまぎ保育園)
妻木受水系統 妻木受水池 - 土岐市鶴里町柿野1207番地の1 (鶴里支所)
肥田受水系統 濃南中区配水池 - 土岐市曽木町407番地の1の1 (曽木支所)
肥田受水系統 濃南低区配水池 - 土岐市曽木町1945番地の105 (蘭仙研修センター)
肥田受水系統 濃南高区配水池 - 土岐市泉町久尻1431番地の12(工場)
肥田受水系統 アクアシルヴァ低区配水池 - 土岐市土岐津町土岐口2467番地(大洞公民館)
妻木受水系統 下石第2受水池
※採水をする場所は蛇口です。
検査項目
- (ア) 毎日検査項目(3項目)
- (イ) 1ヶ月に1回は検査する項目(9項目)
- (ウ) 3ヶ月に1回は検査する項目(27項目)
- (エ) 1年に1回は検査する項目(51項目)
※ (ア)の毎日検査は、水質検査を依頼した一般家庭により10箇所で実施
※ 検査の項目、回数および基準については、別紙記載のとおりです
6.臨時水質検査
臨時水質検査は次のような場合に蛇口または配水池等で行います。
検査項目については、異常等の状況により必要な項目を実施します。
- (ア)水源水質の悪化の連絡があった場合など、浄水の異常が疑われるとき
- (イ)原因不明の色や濁りが発生し、著しく水質が悪化したと判断されるとき
- (ウ)臭気等に著しい変化が生じるなどの異常が確認されたとき
- (エ)工事や事件事故等により水道施設が汚染されたおそれがあるとき
- (オ)その他特に必要があると認められるとき
7.水質検査計画及び検査結果の公表
「水道水質検査計画」はお客様に公表し、その内容についてご意見をいただいた場合はこれらを参考にしながら、毎年計画を見直してより安全で効果的なものへ改善します。公表の方法は土岐市ホームページで掲載します。
「水道水質検査計画」に基づいて実施した毎月の定期検査結果は、計画と同様ホームページで公表します。(毎日検査結果は除きます)
お客様からのご意見やお問い合わせについては、土岐市ホームページまたは電話にてお受けいたしますので、お気軽にお寄せください。
8.水質検査の精度と信頼性の保証
水質検査は、国で定めた「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(平成15年度厚生労働省告示第261号)」により実施します。水質管理設定項目は、東部広域水道の実施する検査を精査し、その状況に応じ実施します。水質検査は「4.水質管理の状況」で記述したとおり、水道法第20条に基づく登録検査機関に委託しますが、その機関において、内部精度管理及び外部精度管理が実施されていることを条件に委託することとし、精度管理を行っています。
9.関係者との連携及び広報活動
水質事故が発生した場合、東濃保健所、検査委託機関と連携し、現場調査及び水質検査を実施します。
また、東部広域水道の水源や浄水処理過程で水質事故が生じた場合は、岐阜県及び東部広域水道事務所と連携し情報交換を行い、お客様には安全で清浄な水道水を提供できるよう努めます。
万が一にも水質事故等が発生した場合は、即時防災無線または広報車での広報を実施し、お客様に対し周知できるよう努めますので、その際にはご協力いただきますようお願いいたします。
水質基準項目説明
水道法に基づく水質基準
水道法に基づく水質基準は、水道法第4条第2項に基づき規定されている「水質基準に関する省令(平成15年度厚生労働省令第101号)」によって、51項目の検査が定められています。
どういったものが水質基準として検査の対象となっているのか、少しでもご理解いただけるよう以下にその項目について説明します。(あくまでも概略ですので了承願います。)
水質基準項目
- 一般細菌(100個/ml以下)
一般細菌として検出される細菌の大部分は、直接病原菌との関連はありませんが、多く検出された場合などは病原生物に汚染されている疑いがあります。この検査は基準値以下であれば消毒効果が得られていると判断されるもので、汚染状況の判断基準となるものです。
- 大腸菌(検出されないこと)
大腸菌は、人や動物の腸管、特に大腸に生息しています。一般的には塩素消毒で死滅する菌です。水道水が糞便に汚染されていないかを判断するものです。
- カドミウム及びその化合物(0.003mg/L以下)
自然水に極微量含まれることがありますが、他に鉱山や工場排水等から混入することもあるため検査するものです。(イタイイタイ病の原因物質として知られています。)
- 水銀及びその化合物(0.0005mg/L以下)
自然水に含まれることはまれですが、工場排水、農薬散布、下水により混入することもあるため検査をするものです。水銀は無機水銀(金属水銀等)と有機水銀化合物(メチル水銀等)に分けられ、毒性は有機水銀化合物が強く健康に影響を与えます。(メチル水銀が原因となって発生した水俣病が知られています。)
- セレン及びその化合物(0.01mg/L以下)
自然水に極微量含まれることがありますが、他に鉱山や工場等の排水から混入することもあるため検査するものです。セレンは生体の微量必須元素でタンパク質や酵素を構成する大事なものですが、多量に摂取すると健康に影響を与えます。爪や皮膚障害、胃腸・肝臓障害:発ガン性があるとも言われています。
- 鉛及びその化合物(0.01mg/L以下)
地質や鉱山、工場排水によって混入することがあります。また、水道の給水管に鉛管が使われている場合に溶出することがあります。鉛は毒性物質で骨などに蓄積されます。近年鉛管からの鉛の溶出について注目され、基準も強化された項目のひとつであることから、現在では確認されている鉛管の交換は完了しています。また、新たに給水管に鉛管が使用されていることが判った場合、随時取替えをしています。長期多量蓄積により消化器障害、神経障害などの慢性中毒症状を起こすことがあります。
- ヒ素及びその化合物(0.01mg/L以下)
鉱泉、鉱山や工場排水、農薬散布により混入することがあるため検査をするものです。ヒ素は蓄積性があり皮膚の角化、神経系や肝臓に障害を与える他、急性毒性を有します。(ヒ素の毒性は森永ヒ素ミルク中毒、和歌山カレー混入事件で知られるところです。)
- 六価クロム化合物(0.02mg/L以下)
クロムは一般的に溶解性が低く、自然水中にほとんど存在することはないものですが、鉱山や工場排水により混入することがあるため検査をするものです。クロムは水道水中では残留塩素により酸化され「六価」として存在するため、毒性の低い二価・三価を除き、総クロムを六価クロムとして扱います。慢性毒性として肝炎などの障害がでます。令和2年4月より0.05mg/Lから0.02mg/Lへと基準値が強化されました。
- 亜硝酸態窒素(0.04mg/L以下)
窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水などに含まれる、私たちに身近な有機態窒素が土壌、水中の好気性細菌により分解されたもので、近年、極めて低い濃度でも影響があることがわかってきたことから、平成26年4月より水質基準項目に追加されました。
- シアン化合物イオン及び塩化シアン(0.01mg/L以下)
自然水中にはほとんど存在することはないものですが、工場排水により混入するこがあるため検査をするものです。シアン化合物は青酸ガスや青酸カリとして知られているもので、毒性が非常に高いものです。
- 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素(10mg/L以下)
窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水などに含まれる、私たちに身近な窒素化合物です。水や土壌中で化学的・微生物学的に酸化及び還元を受け、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素等に変化します。硝酸態窒素は体内で急速に亜硝酸態窒素に変化するため、高濃度の場合血液中のヘモグロビンと反応してメトヘモグロビン血症(ひどい場合は窒息症)を起こします。特に乳児に多くみられます。そのため硝酸態窒素と亜硝酸態窒素の合計値として監視項目となっています。
- フッ素及びその化合物(0.8mg/L以下)
自然界に広く存在しています。フッ化カルシウムが主成分のホタル石が自然界に多く存在するため自然水中にも多く含まれるものです。また、工場排水により混入する場合があります。 フッ素の適量摂取は「虫歯予防」に効果があると言われていますが、多量に含まれると「斑状歯」の原因ともなります。そのため検査対象とされています。
- ホウ素及びその化合物(1.0mg/L以下)
自然水中に含まれることはまれですが、火山地帯の地下水や温泉にはメタホウ酸の形で含まれるものです。また工場排水により河川で検出されることもあります。動物の長期暴露実験で雄生殖器官への影響が認められています。
- 四塩化炭素(0.002mg/L以下)
揮発性有機塩素化合物で、フロンガスの原料や溶剤、洗浄剤に使用されている物です。肝臓等の障害や発ガン性の危険を考慮され検査対象となっています。
- 1,4-ジオキサン(0.05mg/L以下)
揮発性有機化合物で、工場などで多く用いられ、排水として混入する場合があります。この物質は、水、油とも溶けやすい性質から有機化合物を製造する際の反応溶剤や塗料などの溶剤に用いられます。健康への影響としては肝障害等、また発ガン性も疑われています。
- シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン(0.04mg/L以下)
揮発性有機塩素化合物で、溶剤、香料、合成樹脂原料に用いられ、工場排水により混入する場合があります。健康への影響としては、肝臓、腎臓の障害等があげられます。
- ジクロロメタン(0.02mg/L以下)
揮発性有機塩素化合物で、殺虫剤、塗料、ニスなどに用いられ、工場排水により混入する場合があります。発ガン性のおそれが考慮され検査項目にあがっています。
- テトラクロロエチレン(0.01mg/L以下)
揮発性有機塩素化合物で、精密機械部品の洗浄やドライクリーニングの溶剤として用いられるもので、近年では代替フロンの原料として用いられることが多い物質です。毒性としては肝臓や腎臓への障害、また発ガン性を有する可能性がある物質として検査項目となっています。
- トリクロロエチレン(0.01mg/L以下)
揮発性有機塩素化合物で、主に機械・電子部品などの加工段階での油の除去行程に用いられるもので、近年では代替フロンの原料として用いられることが多い物質です。毒性としては肝臓や腎臓への障害、また発ガン性を有する可能性がある物質として検査項目となっています。
- ベンゼン(0.01mg/L以下)
常温では特有な臭いをもつ無色透明な液体で、基礎化学原料として多方面の分野で用いられています。合成樹脂、合成ゴム、ナイロン繊維、染料、農薬などの原料として非常に身近な物質ですが、発ガン性を有するものです。揮発性が高いため、水に入っても空気中に揮発し失われるものですが、危険性が高いため検査項目となっています。
- 塩素酸(0.6mg/L以下)
消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムの分解生成物で、健康影響としては、赤血球細胞へのダメージ(ヘモグロビン、血球容量、赤血球数の減少など)が考えられます。次亜塩素酸ナトリウムは消毒効果保持のため、浄水処理や送水・配水過程において多段階で添加されることから検査項目となっています。
- クロロ酢酸(0.02mg/L以下)
水に含まれる有機物と消毒処理に使用される塩素が反応して生成される副産物です。動物実験では、神経症状や中枢神経系の抑制や脳障害がみられるようです。また、加熱すると塩化水素などを発生させる物質です。
- クロロホルム(0.06mg/L以下)
常温では無色透明の液体で、麻酔作用があることで知られています。19世紀後半に麻酔薬として使われ始めましたが、肝臓障害の副作用があるため、日本では1950年以降麻酔薬として使用されなくなりました。この物質の排出原としては紙類の製造工場や化学工場です。毒性としては肝臓障害や中枢神経系の障害などがあります。これは、浄水過程で生成されるもので、水に有機物質が存在すると、塩素消毒処理によって生成され、トリハロメタンの主要構成物質となっています。
- ジクロロ酢酸(0.03mg/L以下)
浄水過程で生成されるもので、水に有機物質が存在すると、塩素消毒処理やオゾン処理によって生成されます。塩素系消毒剤となる次亜塩素酸ソーダに不純物として含まれてもいます。発ガン性も疑われるため検査項目となっています。平成27年4月より0.04mg/Lから0.03mg/Lへと基準値が強化されました。
- ジブロモクロロメタン(0.1mg/L以下)
浄水過程で生成されるもので、水に有機物質が存在すると、塩素消毒処理により発生するトリハロメタンの構成物質で、原水中の臭素イオンの量に左右されます。健康への影響として、肝臓で酸化され、生体成分と反応し毒性を有すると推測される物質に変化すると推定されています。
- 臭素酸(0.01mg/L以下)
浄水過程で生成されるもので、水に有機物質が存在すると、塩素消毒処理やオゾン処理によって生成されます。塩素系消毒剤となる次亜塩素酸ソーダに不純物として含まれてもいます。発ガン性も疑われるため検査項目となっています。
- 総トリハロメタン(0.1mg/L以下)
この検査項目は、浄水過程で水中に含まれる有機物質と塩素消毒剤(次亜塩素酸ソーダ)反応して生成される副産物(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム)の量の総和です。先の項目に記したとおり、発ガン性を考慮し検査基準とされたものです。
- トリクロロ酢酸(0.03mg/L以下)
水に含まれる有機物と消毒処理に使用される塩素が反応して生成される副産物です。健康に影響を及ぼす恐れがあり基準項目とされています。平成27年4月より0.2mg/Lから0.03mg/Lへと基準値が強化されました。
- ブロモジクロロメタン(0.03mg/L以下)
トリハロメタン4種類の内の1種類です。
- ブロモホルム(0.09mg/L以下)
トリハロメタン4種類の内の1種類です。
- ホルムアルデヒド(0.08mg/L以下)
シックハウス症候群で知られる化合物で、合成樹脂、染料工場等からの排水や土木工事用薬剤の混入により原水混入する場合があります。浄水過程においても一部有機物と塩素等の消毒剤が反応し、生成されます。
- 亜鉛及びその化合物(1.0mg/L以下)
亜鉛は人間の摂取する魚介類や動植物に多く分布しているものですが、自然水中に通常は存在しません。鉱山や亜鉛関連工場の排水により混入する場合があります。亜鉛は体内では吸収の少ない金属で、経口摂取による健康障害は、特殊な場合を除き問題になりにくく、味覚や色に影響します。水道水中での存在は、給水管や給水装置からの溶出が多く考えられます。
- アルミニウム及びその化合物(0.2mg/L以下)
軽量金属で圧延性が良く、熱や電気の良伝導体であることから、家庭用品、家電製品、航空機や自動車、建築用資材など身の回りで多く利用される金属です。水道水では、浄水の際、凝集剤として広く利用されますが、水に対する溶解度は小さいため飲料水からの摂取は極めて少量です。アルミニウムの人に及ぼす影響は明らかではありませんが、近年神経性疾患との関連について研究が進められています。
- 鉄及びその化合物(0.3mg/L以下)
自然界に多く分布し、人間の体にもたくさん含まれる必須元素のひとつです。土壌中に多く含有することから、「そぶ水」として知られるとおり、河川水や地下水(井戸)に含まれることが多い。健康被害ということより、濃度が高いと飲料水や食事の味を悪くしたり、赤水として洗濯物を着色させる等日常生活に影響を与えることから基準値が定められています。
- 銅及びその化合物(1.0mg/L以下)
地殻中に存在する金属で、鉱山廃水、工場排水、農薬の混入等による自然水への混入があります。浄水後の水道水へは、使用される銅管からの溶出があり、特に給湯器等の高温部に使用されている銅管からの溶出は多くなります。銅は人体に必要な物質でもあります。水道水中の濃度が高くなると、水が青くなるなどの影響があります。
- ナトリウム及びその化合物(200mg/L以下)
人体への必須元素となる金属で、塩として摂取する一番身近な物質でもあります。ナトリウム自体は銀白色で電気的陽性の強い1価の金属です。還元力が強くそのまま天然に産出されることはありません。ナトリウムの使用される範囲は広く、工業製品から化学、薬品、食料品等全てといってよい分野で使用されるものです。
- マンガン及びその化合物(0.05mg/L以下)
自然界に広く分布する金属ですが、鉄と共存していることが多い。水道水への混入は消毒剤からの混入が多いが、微量の混入でも水を黒く着色します。マンガンも必須元素のひとつで不足するといけませんが、高濃度の摂取となると神経系に急性中毒、慢性中毒では筋萎縮や言語障害があるといわれます。
- 塩化物イオン(200mg/L以下)
塩分のことで、基準値内においては塩味を感じることはありません。増減は原水に由来することが多いです。下水、家庭排水、工場排水にも多く含まれており、水質汚濁の指標とされています。
- カルシウム、マグネシウム等(硬度)(300mg/L以下)
水の硬度を表すもので、炭酸カルシウム量に換算して表します。WHOガイドラインでは、軟水:0~60mg/L、中度の軟水60~120mg/L、硬水:120~180 mg/L、非常な硬水:180 mg/L~となっています。水道水で硬度の高い場合の影響は、水周りへのスケール付着や洗剤の泡立ちを悪くし洗浄能力を低下させる等があります。
- 蒸発残留物(500mg/L以下)
検査水をそのまま蒸発させたときに残る物質の総量です。残留物はカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウム・珪酸・塩化物等で地質に由来することが多い。健康への影響は心配ないものですが、味に影響するもので、多くても、極端に少なくても味を悪くします。
- 陰イオン界面活性剤(0.2mg/L以下)
合成洗剤や化粧品に多く利用されている他、工場排水等が混入原因となります。一般家庭からの排水や工場排水に汚染されていないか判断する指標です。基準値以上に含有すると、水が泡立ちはじめます。(水をくむ時に出る一時的な泡は、これによるものではありません。)
- ジェオスミン(0.00001mg/L以下)
ダムや湖沼水のような、水の流れのない水域での富栄養化に伴い発生するアナベナ等の藍藻類により産出されるカビ臭を発生させる物質です。臭気に関連する物質であり、基準値を超える水がすぐに健康被害を与えるものではありません。
- 2-メチルイソボルネオール(0.00001mg/L以下)
前記のジェオスミンと同じカビ臭物質で、発生原因、影響等も同じです。
- 非イオン界面活性剤(0.02mg/L以下)
界面活性剤は界面活性を示す部分のイオン性により、陰イオン・陽イオン・両性イオン・非イオンの4種類に分類されます。非イオン界面活性剤は、イオン界面活性剤のように硬度成分(前述)の影響を受けることがなく、酸・アルカリに対し比較的安定であり、少量で泡立つため、陰イオン界面活性剤とともに家庭用コンパクト洗剤に多く利用されます。
- フェノール類(0.005mg/L以下)
フェノール(石灰酸)や誘導体であるクレゾール等を総称したものです。自然水中には存在せず、工場排水等により河川にて検出されることがあります。フェノール類を含む原水を塩素消毒すると、クロロフェノールを形成し、不快な臭味を生じることがあります。臭味発生防止の観点から基準値が定められています。
- 有機物(全有機炭素TOCの量、3mg/L以下)
水中の有機物の量を含まれる炭素の量で表すものです。有機物とは動植物を構成するもので、動植物の死骸、排泄物等による汚染の程度を知る指標となります。
- pH値(5.8以上8.6以下)
pHは水の「酸性」「アルカリ性」を示す数字です。「pH7」は中性、7より数字が小さくなると酸性が強くなり、大きくなるとアルカリ性が強くなります。pH値は水の基本的指標のひとつで、低すぎると水道管を腐食させます。
- 味(異常でないこと)
水の味は、溶存する物質の種類、濃度によって感じ方が変わる他、個人差もあります。味に関連する物質は前記の物質にて調べますが、他に水道管からの影響としては、浄水時の凝集剤の過剰投入、給水管からの鉄、銅などの金属溶出などがあります。味については特に注意を払う項目のひとつです。
- 臭気(異常でないこと)
原因として、プランクトン、バクテリア等の繁殖、工場排水、下水等の混入、水道水の消毒剤(次亜塩素)、新設管での内面材があげられます。清浄でおいしい水としての重要な管理項目です。
- 色度(5度以下)
水の「色」の程度を示すもので、原因としては植物が微生物に分解されることによる黄褐色を示す物質や、鉄、マンガン等の金属です。浄化後は主に給配水設備や給水装置の材質からの金属溶出が原因となります。着色した水は外観を損ない、水の快適な使用を妨げますが、基準値以下であればほぼ「無色」です。直接感じることのできる水の基本的指標で、より高い水質を目指す指標でもあります。
- 濁度(2度以下)
水の「にごり」の程度を示すもので、上昇原因としては浮遊物や溶剤物質などで、これは水の浄化管理に重要な役割となります。浄化後の水に対しては、給配水施設や管内の異常を示すものです。直接感じることのできる水の基本的指標で、より高い水質を目指す指標でもあります。
関連資料
・R4年度水質検査項目回数.pdf (PDF 94.6KB)
関連リンク